開業したてのクリニックが効率的に集患する広告方法とは?

目次

 

新しいクリニックの開業に当たって、どのように広告を行うかは非常に重要です。このコラムでは、効率よく集患して、開業に弾みをつけるための方法を説明します。開業を予定されている方は是非参考にしてみてください。

 

クリニックの広告方法は、大きく分けて「リアル」と「ネット」の2種類

リアル──ポスティングチラシや新聞の折込チラシ

クリニック開業に当たっては、地域住民にいかに認知してもらうかが重要です。クリニックの場合、患者の80%以上が近所住民とも言われていますから、ポスティングチラシと新聞の折込チラシは、広告としては非常に有効です。ネット上の広告の効果は確実に増加していますが、まだまだ紙媒体も無視できない力を持っています。

新聞にチラシを入れるのは内覧日の前の週の半ば、水曜日か木曜日に行うのが望ましいでしょう。週末は広告が増える傾向にあるため、避けた方が無難です。いかに目に留まるか、記憶に刻まれやすいかということがチラシの大目的となります。

ポスティングは開業の1週間程度前が有効とも言われていますが、予算が許すようであれば複数回行うべきでしょう。1回のポスティングでは見ずに捨てられればそこで終わりですが、同じものが2回入っていれば認知されやすくなります。これは新聞の折込チラシにも同じことが言えます。惜しまず何度も入れる、回数は多いほど良い、というのがポイントです。(しつこい印象を与えない程度がおすすめです)

ただしチラシの内容は、後で述べる「医療広告ガイドライン」に抵触することが無いよう注意が必要です。

ネット──ホームページやリスティング広告

クリニックに来てもらうツールとして、ネット上の広告は大きな力を発揮します。前述の紙媒体は集中的な集客効果を持っていますが、効果の持続性は期待できません。しかしネット上の広告は継続的集患が期待できますので、それぞれの効果を知って的確に運用することが大切です。

また、紙媒体では告知できる内容が紙面のスペースに限定されますが、ネット上であれば情報が豊富に掲載することができますので、この優位性も利用すべきでしょう。他院との比較広告は禁じられていますが、診療科目の豊富さや受付時間の長さなど、ストロングポイントがあれば強調すべきです。専門性の高さ、院長の人柄なども差別化の好材料です。

ホームページだけでなく、リスティング広告も強力なツールです。リスティング広告とは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンで何かを検索したときに、その情報に連動して表示される広告です。ホームページは具体的に来院する意志を持った人が見るケースが多いですが、リスティング広告は設定したキーワードに関連する検索をした時に自動的に表示されるので、不特定の人に広く認知してもらうための効果が期待できます。

ネット上に広告を上げる上で気を付けたいのは、「医療広告ガイドライン」に抵触しないことです。ホームページに記載できる内容はこれまで比較的規制が緩い傾向がありましたが、2018年6月までにホームページも「広告」と見なされる恐れがあります。次項ではこれについて記載します。

 

広告を展開する上で気をつけたい「医療広告ガイドライン」

医療広告ガイドラインの概要、及び広告としてみなされるものとみなされないもの

医療機関の広告を行う際には、記載を禁止されている項目があります。特に気を付けたいのは以下の3点です。

① 虚偽の内容:加工や修正を加えた手術後の写真。また「絶対に安全」「必ず成功」といった証明できないことも虚偽に含まれる可能性があります。

② 比較広告:他院との具体的比較や、「日本一」「最高の医療」「地域有数の実績」など

③ 誇大な表現:患者の体験談を良いものばかり抽出して掲載すること

これらに違反した場合は罰則の対象となることが考えられますので、厳重に注意しましょう。

この対象となる「広告」と見なされるのは、以下のものです。

●折込チラシ

●ポスティングチラシ

●看板または、新聞・雑誌などに自らがPRのために記載する記事

●ネット上のバナー広告

●不特定多数へのダイレクトメール

●テレビやラジオなどのCM

 

広告と見なされないものは以下のようなものがあります。積極的に利用しましょう

●院内の掲示

●院内で配布する資料

●論文や発表内容

●新聞や雑誌に取り上げられた記事(有料のPR記事は除く)

●ホームページ(条件付き)

●求人広告

●患者への年賀状など

ただし、これまではあまり規制されていなかったホームページ上の記事について、2018年6月から広告と見なされる可能性が高くなっていますので注意が必要です。

 

集患対策のスケジュールについて

ホームページ」→「ポスティング」→「新聞折込チラシ」→「内覧会」→「開院」の流れを意識

効率よく地域住民に新しいクリニックが開院することを認知してもらうためには、一定の期間が必要です。どんなに遅くとも開業の1か月前にはホームページ開設、ポスティングチラシの投函の企画などを行うべきでしょう。

クリニックの開業コンサルなども、この「1か月前」ということを勧める所が多いようですが、「これは最低でも1か月前から」と考えてください。2か月、3か月前から告知を始め、時間をかけて地域住民の意識を向けさせるほど効果が上がります。

新聞に折込チラシを入れるのも開業の週に行うというのが一般的なようですが、2回、3回と数多く行う方が効果的です。ただし開院までに間がありすぎると、時間とともに印象が薄れてしまいます。リアルの広告手段を活用する際は、早期に打ちすぎて無駄になってしまったということがないように気をつけましょう。

内覧会は開業の1、2日前に行うのが通常です。クリニックという場所は、開業してしまえば「ちょっと見に行ってみる」ということが困難ですから、検査や治療を目的とせず来院できる内覧会は非常に重要です。内覧会にたくさんの人が来るよう周到な告知を行いましょう。

開業までの広告スケジュールの流れをもう一度整理しましょう。

① ホームページ開設:最低1か月前、できれば2~3か月前

② ポスティングチラシ投函:1か月前から企画し、できれば複数回行う

③ 開業の週に新聞に折込チラシを入れる:できれば複数回行う

④ 内覧会:開業の1、2日前

他の医院から乗り換えてもらうためには、集患対策に十分な予算と時間をかけましょう

新しく開業するクリニックに乗り換える、というのは患者の側からするとそれなりにハードルが高い行動です。飲食店やスーパーマーケットなら、複数の店に出入りするのは当たり前で、新しい所に行ってみよう、と積極的に行動するでしょう。しかし医療機関は試しに行ってみるというケースは少なく、体調が悪い時には新しい病院に行くというチャレンジをする気になりにくい、というのも予想できることです。更に患者の立場から見れば、現在通院している医院は過去の病歴や治療経過を理解しており、それを一から始めることには不安もあります。つまり、病院を乗り換えるというのはそれほど簡単なことではないのです。

「開業して成功する」というのは「継続して利益を上げ続ける」と言い換えることも出来ます。これをもっとわかりやすく言うと、「地域住民の多くが必要な時はあのクリニックに行こうと思っている」、ということです。しかし開業にあたっては、医療機器や設備の充実、建物の外観や機能性に目を向けがちで、宣伝広告の必要性とそのための費用を設定する意識が薄いのが実情です。

「成功のためには広告に費用と時間をかける!」これは鉄則と認識するのが、効果的な集客への近道です。

 

まとめ

開業にあたっての広告の必要性や準備すべき内容、注意点などをご理解いただけたと思います。

「リアル」と「ネット」をしっかりと使い分け、効果的な集客を行いましょう。地域に根ざす意味で有効なポスティングチラシや新聞折込チラシ、多数の方に呼び掛け可能で効果が増大しているリスティング広告、更に瞬発力は無くても長期的な集患に繋がるためのホームページの強化、これらをバランスよく使うことが、成功の秘訣です。

 

【参考文献】

・厚生労働省「医療広告ガイドライン」

http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/kokokukisei/dl/shishin.pdf

・厚生労働省「医療法等の一部を改正する法律の概要(医療に関する広告規制の見直し)」

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000171628.pdf

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