クリニック開業に失敗しないために押さえておきたいポイント

目次

 

クリニックの開業、それは勤務医であれば一度や二度は考えることでしょう。また、医師になる工程の中で、最初から開業を明確な目標としている人も多いでしょう。このコラムでは、まず院医の長であり、尚且つ経営者であるための資質=いわゆる向き不向きを検討し、実際に開業する際に必要なことをまとめます。開業を考えられている方は是非参考にしてください。

 

開業に向いている性格を知り、改善しましょう

まずは開業を行う上で有利とされる性格を押さえておきましょう。もし自分が当てはまらない場合でも、意識して改善することで失敗のリスクを抑えられる可能性があります。

計画性がある

開業に当たっては、その場所を決め、建物を用意し、医療機器を選別し、スタッフを集め、集患数や売り上げ・利益の目標を立てる……など多岐にわたる事業計画を、自分自身が中心となって進めていかなければなりません。これには大きな時間と労力がかかりますから、綿密な計画性が必要です。

勤務医として他者の配下にいることはストレスを伴うでしょうが、それが嫌になったからという理由で開業を決めるというのは少々安易な行動かもしれません。自己資金の準備や家族への影響も無視できませんので、それらも含めて、物事を計画的に進めることができるか、まず自己診断してみましょう。

妥協ができ、失敗を引きずらない

人間である以上、生きていく上でさまざまな失敗をするのは当然ですが、責任者という立場に立つとそれを重く受け止めすぎる人もいます。医療行為は妥協が許されない局面もあります。上手くいっている時はともかく、トラブルが発生すると、もっとこうした方が良かったのではないか、と自分や他人を責めることもあるでしょう。

しかしあまり完璧を求めすぎると、自分自身もストレスでまいってしまいますし、スタッフにとっても居心地が悪い職場になりがちです。少しくらいのことは笑って受け流す、スタッフを責めずに次は失敗しないようにしようと励ます、などの配慮がリーダーには欠かせません。

コミュニケーション力があり、責任を負い人脈を作る力がある

開業医になると、勤務医の時とは違う種類の交流が必要となります。行政機関やケアマネージャー、介護士などの社会的交流も発生しますし、円滑な経営を行うには金融機関、税理士、労務士といった人たちに協力を依頼することもあるでしょう。スタッフには院長としての責任ある立場で接触しなければなりませんし、なによりも患者さんたちとのコミュニケーションが円滑でなければ、かかりつけ医というポジションは築けません。

自分自身のコミュニケーション能力を考慮して、足りないようであれば積極性を身につけましょう。

向上心があり、高慢ではない

勤務医であれば職場の側から研修の機会を与えられたりしますし、情報が入るルートも最初から存在するでしょう。しかし、開業すると自分自身の足で情報を得に行かなければなりません。もちろん日々の診療を滞りなく行うことは重要ですが、新しい技術は常に更新されていきますから、忙しさにかまけていても時代遅れになってしまいます。それには常に向上心があることが重要です。今の技術力や情報量に満足してはいけません。

また、時には他者からのアドバイスが自身や医院の方向性を良い方向に修正してくれることもあります。それらの言葉に耳を傾けるためにも、「開業医」という立場にプライドを持ちすぎ、高慢になっていないか気を付けることも重要です。

 

強みや診療日、設備など、差別化できる要素をしっかりと見極めましょう

開業して成功するというのは、言い換えれば安定して利益を確保できるだけの患者さんが足を運んでくれる、ということです。医療機関というのは、飲食店やスーパーマーケットと違って、新しいというだけでは集客できません。

利益が得られる患者数を確保するためには、自身の「強み」と「弱み」をしっかり把握し、周辺のクリニックに対して差別化できることが重要です。まずは自分自身が得意な分野と不得意な分野を列挙してみましょう。

そして地域性を踏まえた受付時間を設定したり(企業が密集しビジネスマンが多いビル街と、一般家庭が多い住宅街では患者さまが集中する時間も違います)、希少価値がある機器を導入したりするのであれば、得意分野と合わせてしっかりとアピールすることです。

 

立地を意識するのが大切・意識しすぎないのも大切

一般に集患可能なエリアは広くても半径500メートル、その場所に診療時間内に5000人が存在していなければ利益を得ることは難しいと言われています。

患者さんに足を運んでもらうには、立地が良いことはもちろん重要です。とはいえ、上記の条件を鵜呑みにし、駅前の一等地を選べば必ず成功するのかというと、そうとは限りません。

良い場所には既に競合する医院があるのが常ですし、将来的に新たな競合が現れる不安も付きまといます。また便利な土地ほど、買うにせよ借りるにせよ費用も掛かりますから、経営を圧迫する可能性もあります。長期的な目で見たとき、多少ニッチであってもしっかりと利益を見込めるほうが経営は安定します。候補地周辺の既存のクリニックをしっかり調査し、自身の強みと立地の力で利益を産めるだけの集患が可能かどうか、よく検討しましょう。

 

開業直後だからこそ、優秀なスタッフを集めましょう

せっかく来てくれた患者さんに、あまり良いクリニックではないと評価されてしまうと、後から挽回するのは困難です。そのため開業時は特に注意深くスタッフを選びましょう。ここで、スタッフ採用の際の面接時に見るべきポイントを列挙してみます。

 

① 礼儀、常識

患者さんはスタッフの態度を、医師が思う以上に気にしています。入室時から注意深く観察しましょう。

 

② 労働条件、待遇にどの程度固執しているか

プロ意識があれば条件を確認するのは当然ですが、しかしそれが多すぎる人は自己主張が強く、より良い条件があれば簡単に移動する可能性があります。

 

③ 以前の勤務先の悪口を言う

このような人は、自身の医院の悪口をどこででも口にしてしまう可能性があります。

 

④ 服装

不潔な人や華美な人は要注意です。ルーズだったり、院内のルールを守れなかったりする恐れがあります。

 

開院直後と長期的な集患アプローチを欠かさないようにしましょう

無事開業にこぎつけたとしても、集患の努力を怠ってはいけません。常に新しい患者さんに来てもらうこと、かかりつけになってくれることを実現するためには、適切な広告を打ち続けることが重要です。

開業までには新聞の折込チラシやポスティングチラシが効果を発揮しますが、開業後はネット上での広告が有効です。ホームページなら幅広い情報を無理なく掲載できますから、自身の医院の強みをアピールして、周囲の競合医院との差別化も可能です。また、検索エンジンに連動して表示されるリスティング広告も集患能力があります。

ネットの情報を見てクリニックを選ぶ傾向は年々強まっていますから、これらの広告にはきちんと予算を割いて力を入れましょう。

 

まとめ

開業に向いた資質を考慮した上で、開院時の集患のためのアドバイスをまとめました。クリニックを始めるというのは非常に多くの手間や時間、費用がかかり、非常に苦労が多いことだと思います。それだけに、利益を上げて長く続けなければ意味がありません。本コラムの情報が、成功のきっかけになれば幸いです。

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