クリニック開業のタイミングや適齢期、平均年齢について

目次

 

今現在、勤務医として生活をされている方の多くは、自分自身の力でクリニックを新規開業するということを一度は考えられるものではないかと思います。当然のこととして、医師になる当初からの目標とされている方も多いことでしょう。

では具体的に開業するにあたって、適切な年齢はあるのでしょうか?このコラムでは、実際に開業された方の平均年齢やその動機について、さまざまなデータをもとにまとめました。将来新規開業を考えている方は、是非参考にしてください。

 

新規開業する医師の平均年齢は41歳

社団法人日本医師会による統計を見ると、新規に開業する方の平均年齢は41歳だそうです。また、日本政策金融公庫が2015年に公表したデータでは42歳となっているので、1歳の違いこそあれ40歳代前半で開業するのが平均的な年齢、という見方は正しいと思われます。

もちろん平均値ですから、20~30代で開業する方もおられますし、50、60代の方もおられます。また、この統計の時点で5年以内に開業した医師の平均は44.9歳、10~20年なら41.7歳、30年以上の方は37.5歳となっており、年々開業する人の平均年齢は上がっているとも言えます。これは勤務医としてのキャリアやスキルをある程度確立してから開業に踏み切る傾向が増えた、とデータを発表した医師会によって推測されています。

さらに、統計データは無いものの、ある団体のヒアリングによると、専門性によって開業する年齢に違いがあるとも思われています。例えば歯科医の場合は30代半ばで独立開業するケースが多くみられるようです。

 

開業医になる理由・動機でもっとも多いのは「理想の医療の追求」

続いて開業に至る動機としてどのようなものがあるか、が気になることと思います。やはり医師会による調査で、それについてのデータも集められています。(「開業動機と開業医(開設者)の実情に関するアンケート調査」より)

なお、これは全くの新規開業を行ったケースと、親族などから継承した場合で大きく異なります。まず新規開業では以下のような動機が多くなっています。(上から多い順)

・理想の医療の追及

・将来に限界を感じた

・経営も含めたやりがい

・精神的ストレスによる疲弊

・過重労働による疲弊

この結果を見るに、動機は完全に開業する本人の個人的意思を反映していることが伺えます。動機を大別すると「理想の追求」「やりがい」という、自分自身のステップアップを目指すポジティブなものが目立ちます。このような考えは自分自身にある程度の自信があってこそのものですから、前述の一定のスキルを身につけた上での開業が増えている、というデータとも連動しているでしょう。

「限界」「ストレス」「疲弊」といったネガティブなキーワードが入った動機については、勤務医としてのキャリアを長く続けていくことに疑問を持ち、待遇の改善を考えたということがうかがえる内容です。

続いて継承の場合を見てみましょう。

・親族からの要求

・家族の事情

これ以降の順位は上記の新規開業のケースが同じ順番で続いていますから、継承の場合は親や親類が引退するタイミングなどで要請を受けて踏み切った、と言えるでしょう。とはいえ、それに次ぐのが「理想の追求」ですから、決して継承する人がネガティブな理由でやむを得ず、という訳でもないこともうかがえます。

 

若いうちに行う?経験を積んでから?新規開業するタイミング

開業する年齢に平均的なものがあるとはいっても、そこに至る動機やキャリアに個人差がありますから、適正な年齢というものがあるわけではないということはご理解いただけると思います。

なお、早い段階で開業するメリットはもちろんあります。それは今何歳であるか、というものに寄らず、以下のような理由があるからです。

・クリニックを開設する場所が無限にあるわけではないので、良い立地を確保するには早いほど有利

・土地、建物、医療機器への投資を回収するには長い期間を要するので早い方が有利

 

 

一方で、一定の年齢を経てから開業するメリットももちろんあります。

 

・自己資金を貯めてから開業すれば、借り入れが少なくて済む

・スキルに自信をもって開業する精神的優位性がある

 

日本人全体の平均寿命は年々上がっていますから、以前と比べて比較的遅く開業したとしても、医師として勤務し続ける年数も増加傾向にあります。もちろん開業医には定年退職などという制度はありませんので、決して50代の開業が遅いということはありません。

結局のところ、どちらにもメリットはありますから、目指す本人の人生設計による、ということが言えるでしょう。ただし、今現在それほど具体的には考えていない、という人でも「いつかは」という意思があるのであれば、資金調達の準備や開業に必要なプロセスを学んでおくことは非常に重要です。

 

まとめ

いかがでしたか?医師として新規開業するのは、決まった年齢があるのではなく、望む方自身の状況、そして人生観によるということがご理解いただけたと思います。まず自分自身や家族の将来をしっかりと考え、早急に開業に踏み切るのか、じっくりと資金作りやキャリアアップに努めるのかをイメージしましょう。

【参考文献】

・社団法人日本医師会「開業動機と開業医(開設者)の実情に関するアンケート調査」

http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20090930_21.pdf

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