クリニックを継承する・させる上で注意したい点とは

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日本は高齢化社会に突入していますが、それはもちろん医療業界でも起こっています。特に現在70歳前後の団塊の世代の方々が引退を考える時期でもあり、継承ニーズは高まる一方です。このコラムでは医業継承のメリットや継承する側、される側の注意点を解説していきます。

 

継承開業のメリット

地域に根付いている

その場所にその医院があることが知られていれば、患者自体を継承できる可能性が高いと言えます。このため、開業時から一定の患者数を見込むことができますから経営上は非常に有利です。開業したその日から収入を想定できるので、運転資金が少ない場合でもそれほど不利になりません。

初期費用が少なくて済む

建築、医療機器、内装などが、ゼロからの出発に比べると圧倒的に安く済むのも継承した場合の大きなメリットです。その価格は一概には言えませんが、多少の改修が必要だとしても建築費数千万円の建物を引き継げること、医療機器も小さなものから大きなものまで合わせれば数千万円に相当する場合もあることなどを考えれば非常に大きな金額が節約できる可能性があります。

スタッフを引き継ぐことができる

新規に開業する場合、良いスタッフを雇用できるかどうかは大きな問題ですが、継承する場合はその場所や患者に精通したスタッフも引き継ぐことができます。院長が交替した場合患者離れが起こる心配もありますが、人柄が良いスタッフが継続して勤務していれば患者の離散に歯止めをかける効果もあるかもしれません。

 

継承開業の際の「継承する側」の注意点

時間の余裕をもって準備を

継承する側としては、年齢的な理由から引退を視野に入れた継承が最も一般的でしょう。この場合は、「急に体調が悪化してきたが、すぐには後継者が見つからない」というリスクを考慮して余裕をもって検討を始めましょう。長年通っている患者さんが多いほど、「できる所まで頑張ろう」と思う方も多いようですが、患者さんのことを考えればこそ、スムーズな継承は重要です。

 

親子間での継承であればともかく、他人に継承する場合はまず相手を探すことから始まり、金銭面での交渉や手続きが必要となりますから、1年から2年程度はかかると思った方が良いでしょう。ですから身体的に「もう難しい」と思ってから継承相手を探すのではなく、まだ余力があるといううちに検討を始めることをおすすめします。

親子間継承でも口出しは控えめに

親子での継承となると、ついあれこれと口を出したくなってしまいますが、できるだけ新しい世代なりの知識や感性に任せてしまいましょう。いずれにしても新院長が自分自身で自覚をもって頑張っていかざるを得ないのですから、相談されれば知恵を貸す、というくらいのスタンスに徹することが結果的に良いようです。

譲渡条件は明確に

第三者へ譲渡する場合、交渉に入る前にきちんと条件を決めておくことが重要です。継承する側としては医療関係者としての見識や技能を見てから考えたいと思いがちですが、継承される側は新たな経営者として踏み出そうとしているのですから、条件を提示されなければ話が進まないと思ってください。

 

条件の設定や継承者のマッチングなどは医局でも相談に乗ってくれる可能性はありますが、相談先として信頼できる別の会社などがあれば、そちらに相談した方が適切かもしれません。

 

継承開業の際の「継承される側」の注意点

患者離れを防ごう

継承前の医院の評判が良かった場合、以前の院長が高く評価されていたと言えますから、その人が去ってしまえば一定量の患者離れはおこります。これはどれほど頑張ってもゼロにはできないと覚悟しておきましょう。

 

明らかに患者数が減ったことが目立つ場合、「以前の院長は良かったのに新しい院長は良くないらしい」といった風評被害を事実以上に受けてしまうこともあり得ます。

 

これを防ぐには、前院長が完全に去ってしまう前に、並行して勤務し、自然な引継ぎをすることをおすすめします。前院長が新院長を信頼しており、新院長には前院長に負けない技能や人柄があると思ってもらうことが重要です。

スタッフとの関係を良好に保とう

スタッフを一新した場合は別ですが、継承前から勤務している人がいる場合はその関係性に注意が必要です。基本的に従業員が経営者の悪口を言うのは残念ながらよくありえることであり、まして親から継承した場合などは、誰しもがねたみの気持ちを持ちがちです。

 

実際には継承の苦労もありますからこんなうわさを聞いたら腹も立つでしょうが、それは人間の心理として当然のことと受け入れ、経営者の視点を持って信頼関係を築くことに集中しましょう。

 

このような関係構築が上手く行かない場合、スタッフは新院長の悪口を平気で患者に言うようなこともあり得ます。前院長の方が良かった、と患者に評価されるのはできるだけ避けたいものです。

 

継承後はこれまでの患者様を大切にしつつ新規集患することが重要

継承される際、計画段階では建築物や医療機器を受け継ぐことにメリットを感じがちですが、スタートが具体的になれば、集中すべきなのは集患です。引き続き来てくれる患者も見込めますが、油断してはいけません。これまでの患者を大切にしながらも、院長が交替してリフレッシュしたこと、新しい特色などをきちんとアピールして、新規の患者もゲットしましょう。

 

新しい患者を得るにはホームページを活用することが有効です。近年はWEB上で医院の特徴を見てから来院するかどうかを決める人が増えています。ホームページ上でアピールできれば、少しくらい距離があっても来院する傾向はありますから、これまでに集患エリアと言われていた半径500メートル以外の場所からの集患も可能です。

 

継承によってゼロからの開業より費用が安く上がっているはずですから、経営を楽にするためにもホームページ制作にはしっかりと費用をかけることをおすすめします。

 

まとめ

医業継承のメリットや注意点についてご理解いただけたのではないかと思います。継承はする側とされる側にそれぞれの思惑がありますから、なかなか上手く行かないケースもあり得ます。継承する側はトラブルが無いようしっかり準備して望み、継承される側は将来の展望を立てるためにも集患に集中しましょう。

 

バンラボは、医療専門の士業(税理士、行政書士、司法書士、弁護士)との連携で、開業から集患、事業継承までのご支援させていただいております。今回説明したようなトラブルケースにも柔軟に対応させていただきますので、是非お気軽にご相談ください。

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